無地の汚れ

雉も鳴かずば撃たれまい。

タキサイキア感想2 演じまCYNHNについての雑記

 MUJIDASHです。

 

 MUJIDASHだ。

 

 どっちじゃい統一せんかいカスゴルァ!という感じだろうが、実際自己紹介としてMUJIDASHだ、は余りにも横柄という感じがするのでやむを得ず、である。

 

 前回…数か月前である…は「3rdシングルでタキサイキアが発表されたときの心境」のようなものを書き、そこで「MVについて触れたい」みたいなことを宣っていたのだが諸々の事情で延期を繰り返してしまったので、いよいよメインボーカル制が終わろうというこのタイミングでしっかりまとめようと思う。

 

 まずそもそもメインボーカル制というのはCYNHNメンバー一人一人に焦点を当てた曲がそれぞれ与えられその曲のメインを張るという制度であり、いわゆる「ソロ」とは違う(ソロに該当する楽曲もあったが何故かセンター曲という名称にされている)。むしろメインボーカル制こそ「センター曲」という感じもするが、まあそこはさして重要ではない。

 

 そして、演じまCYNHNというのはそのメインボーカル制を象徴すると言ってもいい試みである。メインボーカルを担当したメンバーが主演を務めるストーリー性のあるMVの総称とでも言おうか、その内容は特定の層を覿面に鬱にしてくる。MVの内容は比較的ネガティブな序盤から、それを解決、あるいは振り切る終盤という構成で、概ねメンバーの経歴や思考をベースに組み立てられている。…はず。どのMVでも最後には謎の青い欠片を手に入れて終わるのだが…。

 

 さて、MUJIDASHは今までカゲロウプロジェクトやキングダムハーツといった滅茶苦茶に考察を要するコンテンツにここまで育てられ上げてきたので、作者そこまで考えてないだろ…というレベルの重箱の隅までつつく傾向がある。そのため、ボーカルユニットのMVであったとしても意味深な要素を見ると尋常ではない量の考察をしてしまう。今回のブログは3rd期、4th期、そして5th発売前の今という三段階に分けて考察してきた内容を書き連ねていきたいと思う。前提条件として「MVは各メンバーが青い欠片を手に入れ、CYNHNになるまでのifルートのようなものである」、「メンバーのMVラストの年齢は実際の年齢準拠である」という予想を念頭においてほしい。

 

・3rd期前半

 So Young、タキサイキアのMVが公開されて間もない頃。双方学校が舞台ではあるがタキサイキアに青柳ちゃんは登場せず、逆もまた然り。青柳ちゃんと仲良くしていた女生徒が綾瀬を虐めているというシーンがある為、時系列は同時期(綾瀬と青柳ちゃんが同級生という設定)という可能性が考えられないこともないが、不登校になったわけでもないのにSo Youngに百瀬が出演しないのは不自然なので、単純にモブキャラのキャスティングの問題だと思われる。この時期からMUJIDASHは「演じまCYNHNはFINALegendの『終わりがあって始まんだよ』というフレーズに物語性を持たせ、虚勢や劣等の打開を願うはりぼてに繋ぐためのシリーズなのではないか?」と考察を始める。

 


CYNHN(スウィーニー)「So Young」 Music Video

 So Youngでは足の骨折によって陸上部選手としての活動を諦めなければいけなくなり、楽しいながらも不完全燃焼な日々を送る青柳ちゃんの姿が描かれている。MV終盤ではもう怪我も治っているが、骨折を機に退部しているため夢は途絶したと見るのが正しい。MVラストでは路上シンガーである奏音ちゃんに触発され、「本当は陸上を諦めたくなかった」と吐露し、かつての自身の諦観を糧に進んでいくことを決め、青い欠片を手に入れて終わる。このMVでの骨折というのは本当にどうしようもない事故であり、また時間経過で改善する事態だ。このMVでの最大の問題は骨折そのものではなく「自分に嘘をついて夢を諦めた」ことにあり、着地点は「もう自分に嘘をつかないと決意する」、といったものであると考えられる。また、このMVでは奏音ちゃんがやたら達観していたので、奏音ちゃんのMVはおそらく青柳ちゃんのMVの前日譚になるだろうと推測されていた。

 


CYNHN(スウィーニー)「タキサイキア」Music Video

 タキサイキアでは歌うことが好きだけれど酷く内気な綾瀬が、自分の歌を好きだと言ってくれる百瀬という友を得るも、クラスメイトによる陰湿な嫌がらせによって仲違いし引きこもってしまうという内容になっており、大変辛い。黒綾瀬というか闇綾瀬みたいなものが序盤から終盤まで延々と綾瀬を苛み続けるも、引きこもっていた時にラジオから聞こえてきたメッセージで奮起し、「たとえ誰も聴いてくれなくても私は歌い続ける」と黒綾瀬を一蹴し、黒綾瀬が消えたと同時に青い欠片を手に入れて再び外に出るというのがMVの大筋だ。この段階ではこのMVの最大の問題というのは青柳ちゃんの骨折と同様に、引きこもったこと自体ではなく「友達を信じることができずに逃げ出した」ことにある。しかし、このMVでは「たとえ必要とされなくても歌い続ける」という百瀬との仲違いも何も根本的に解決していない着地を迎える。大変後味の悪いバッドエンドと言ってもいいが、さらに恐ろしいことに演出が凶悪なので引きこもっている状態からMVが始まる。百瀬の声がラジオから聞こえてきてそこから曲が始まるのだが、この冒頭シーンはオチに相当するシーンの直前となっており、MVの内容を順番に表記するとオチの直前→本編→オチとなっている。この時期には「綾瀬が聞いたラジオの声は本当に百瀬のものか?」という議論がなされており、大きく分けて「本当に百瀬がラジオのMCをやっていた」という説と、「ラジオの内容を聞いて綾瀬が想起したのが百瀬だったので百瀬の声に聞こえた、という演出」という説が双璧を成していた。また、百瀬との仲違いが全く解決していないので、百瀬のMVでタキサイキアの後日談、あるいは綾瀬が引きこもってからの百瀬が描かれるのでは?という説も浮上していた。

 

・3rd期後半

 CDがリリースされ、初回限定盤にMVのメイキングや完全版がついた結果、タキサイキアのMVの解釈が大きく変貌を遂げる。

 

タキサイキア/タイトル未定 (初回限定盤A)
 

  タキサイキアの中盤から後半にかけて、動画としてアップロードされているMVにはなかったシーンが追加されるというファイナルミックスみたいな事態が発生。しかも内容は3rd期前半の「綾瀬が聞いたラジオの声は本当に百瀬のものか?」という謎に対する回答とも言える内容である。このラジオでは冒頭に漠然と誰かを示すようなメッセージがあるのだが、完全版ではその後のトークも補完されており、「歌が好きな友達がいた」とガッツリ綾瀬にターゲットが絞られている。これによって「たとえ必要とされなくても歌い続ける」という着地点が、百瀬によって鼓舞されたことで、「友の思いを信じ、弱気な自分に打ち勝つ」という着地点だということが判明した。が、これも結局のところ百瀬との仲違いの解決には至っていない。この3rd期後半から「MVは各メンバーが青い欠片を手に入れ、CYNHNになるまでのifルートのようなものである」、「メンバーのMVラストの年齢は実際の年齢準拠である」という前提から、綾瀬は不登校になって(早生まれで夏服なので15~17歳)から、社会人となってラジオのMCをするようになった百瀬のメッセージを聞く(実際の綾瀬がCYNHNとして活動を始める19~20歳)まで引きこもり続けていた可能性があるという説をMUJIDASHが提唱し始める。これは完全に憶測だが、MV内で「久しぶりに綾瀬さんを見た」という大分距離感を感じるセリフがあるので、一年生のどこかの時期に学校になじめず不登校になり、二年生の6~7月に一般のクラスに復学したとMUJIDASHは推測していた。

 

・4th期

 奏音ちゃんの絶交郷愁、ねるちゃんの雨色ホログラムがリリース。大方の予想通り奏音ちゃんのMVは青柳ちゃんのMVの前日譚であったが、なんと3rdの時にはなかった4thのメインボーカル同士での関連性があるという展開に。これによって時系列が定まりつつある。

 


CYNHN(スウィーニー)「絶交郷愁(ゼッコウノスタルジック)」Music Video

 絶交郷愁ではアルバイトに励みながら歌のオーディションに挑み続けるも、落選を繰り返し自身の歌う意味や現実の壁に直面する奏音ちゃんが描かれている。切羽詰まるあまり楽しい歌という概念で煮詰まり、歌うことを諦めようとするが、アルバイト中に見かけたOLであるねるちゃんが友達のために歌っていた歌を聞いてブレイクスルー。再び歌うことの楽しさを思い出して、路上パフォーマンスの最中に青柳ちゃんに出会ってアドバイスをし、後日、またオーディションを受ける日々を再開して会場を出たところで青い欠片を手に入れてMVは終わる。このMVの問題点は「義務感に駆られて何のために歌うのかを見失う」ことにある。着地点は「そもそも歌は楽しむもの」と、文字に起こすとまああっさりしているものの、明瞭な真理とも言える。このMVはSo Youngのように回想を挟んだりタキサイキアのような時系列の前後といった演出もされておらず順当に物語が進行しているので、ねるちゃんの歌を聞いてブレイクスルー→青柳ちゃんに出会う→青い欠片を手に入れる、の順番で間違いないはずだ。つまりこの段階で青い欠片を手に入れた順番は青柳ちゃんに続いて奏音ちゃん、ということになる。また、現実の奏音ちゃんとは違って大学に通っている描写も存在しないが、高校に通っている描写も無いため文字通りアルバイトとオーディションの毎日を繰り返す18~19歳、と考えられる。

 


CYNHN(スウィーニー)「雨色ホログラム(アマイロホログラム)」Music Video

 雨色ホログラムでは面倒事を避け、夢にも蓋をして自分を殺しながらOLをしているねるちゃんという最も一般の人間に近い生々しい内容が展開されている。上司にミスの責任を押し付けられたり、自分のやりたかった夢が漠然と社会に圧し殺されていることに疑問を感じながら生活していたが、ネット上(?)で音楽活動をしている真愛ちゃんの「私は自分の味方でいたい」という言葉で意識が変わり、自分の意見をしっかりと伝え上司に一矢報いることに成功する。仕事帰りに青い欠片を見つけ、5人のシルエットに向かって歩いていくねるちゃんの後ろ姿でMVは終了する。このMVの問題点は「色々なことを思い考えているのに事なかれ主義が先立ってしまう」ことで、着地点は「自分の信念をはっきりとアウトプットできるようになる」ことだと言える。このMVの着眼点は真愛ちゃんが既に芸能活動と思しき活動をしており既に青い欠片を入手している可能性が高いということと、MVのシナリオパートでメンバー全員が登場するのは雨色ホログラムのみであるということである。前者はSo Youngにおける奏音ちゃんのようなもので、真愛ちゃんのMVが雨色ホログラムの前日譚になる可能性が高いということでもあるが、これだけでは青い欠片を手に入れるタイミングがねるちゃんよりも早いかもしれないという根拠にはならない(奏音ちゃんが青柳ちゃんより遅く欠片を入手したという事例があるため)。では何故既に真愛ちゃんが青い欠片を入手している可能性があると判断したかというと、それは後者の着眼点に起因している。そう、シナリオパート中に他のCYNHNメンバーが全員集合しているシーンは他のMVには存在しない。要するにシルエットとして目の前に登場したメンバーは既に全員青い欠片を入手(CYNHNのメンバー候補として存在)しており、欠片を手に入れてその後姿を追うねるちゃんが最後の加入メンバーであるという説である。これは「MVはCYNHNに至るまでのifルート」という前提にも実は合致しており、現実のCYNHNのオーディション…というかJOYSOUNDとディアステージの共同オーディションにおいてねるちゃんが一番のイレギュラーであった(本来のオーディション枠には存在していなかった)という事実を踏襲しているともとれる。

 

 ここまでの「1・ねるちゃんは真愛ちゃんに触発され、2・奏音ちゃんはねるちゃんに触発され、3・青柳ちゃんは奏音ちゃんに触発された」というMV全体の流れは何となくわかってもらえると思うが、1と2が必ずしも青い欠片を入手した順番とイコールではないというのが難解なポイントである。絶交郷愁において奏音ちゃんはねるちゃんの歌から楽しい歌という概念を思い出すが、じゃあその楽しい歌は真愛ちゃんの影響がなければ歌われないものか?と問われると疑問が残るし、仮に「青い欠片を入手していることが直後にCYNHNメンバーになることの暗喩である」とするならば、1が発生した段階でねるちゃんがOLを辞めることを意味するので、絶交郷愁でのアルバイト中に二人は出会わないということになってしまう。

 

 ということで、この時点では暫定的に真愛ちゃんが欠片を入手した時期はねるちゃんより早い、ねるちゃんが欠片を入手しOLを辞めたのは誰よりも最後という程度に留めておく。この段階で綾瀬や百瀬の欠片入手時系列がねるちゃんより早いこと以外全く不明であるというのが非常に特殊であると言える。

 

・5th期前半

 これは空気とインク、wireの公開前、つまり現在ということだ。MVも公開されていないのに何を考察できるんだ?と思うかもしれないが、ネットサインのチェキで綾瀬と百瀬がブレザーを羽織っている姿が確認できた。タキサイキアは夏服、wireを冬服とするならば普通に考えれば前述の「綾瀬数年引きこもり説」は瓦解する。タキサイキアのMVで夏服の時期に不登校になって、百瀬のラジオを聞き、wireでは冬服の間に復学している、という超短期スパンの話になってしまうということだ。こうなるとwireのMVは、綾瀬が引きこもってから百瀬がラジオのMCになるまで何をしていたのかは描かれず、綾瀬が復学してから、という特に問題のない時期のMVになる可能性がある。

 

 しかし、待って欲しい。現状のMVは「自分の問題(MVで対になっているメンバーの問題とは関係ない)を、人から影響を受けて対処する」ものであり、たとえば奏音ちゃんは青柳ちゃんに助言こそしたものの、奏音ちゃんのMVは別に青柳ちゃんのMVの解決編ではない。絶好郷愁ラストでSo Youngのワンシーンが描かれたように、wireラストでタキサイキアのワンシーンが描かれるとすれば、百瀬のMVも綾瀬のMVに対する解決編になるとは考え難い。つまり百瀬自身の問題が描かれるものになり得る。wireのMVのラストにタキサイキアのラストを持って来ようとすると、必然wireのMVの内容は綾瀬がまだ学校にいた頃から綾瀬が外に出るまでの内容になるのだ。

 

 その条件で冬服は厳しくないか?という向きもあるだろうが、実は何の問題もない。タキサイキアで描いていたのは「2年の夏服期間(綾瀬と百瀬が友達になる)」、「3年の夏服期間(引きこもりの切っ掛け)」、そして「綾瀬引きこもり期間」。wireでは「2年の冬服期間」、「3年の夏服期間(タキサイキアの映像の使い回しで良い)」、「綾瀬引きこもり期間」を描く、とすると「綾瀬数年引きこもり説」では綾瀬が冬服を着ているネットサインのチェキの説明がつかないという条件をクリアできる。つまり綾瀬がMV内で冬服を着て、3年生以降から数年間引きこもっている、という設定は並列して存在しうるということだ。

 

 あと気になるところと言えば、百瀬と真愛ちゃんは一体誰から影響を受けるのか、ということだ。消去法的に考えると真愛ちゃんは綾瀬から影響を受けることになる可能性がある。影響を受けるタイミングと欠片を入手するタイミングは必ずしも一致しないが、例えば綾瀬が土手で歌っている姿を見て真愛ちゃんが歌に目覚めた、というのもありうる。あるいは、5thシングルでは今までの「影響は連鎖する」という慣例を無視して、綾瀬と百瀬は相互に影響を与え合っていた、真愛ちゃんは人の影響を受けず自ら問題の解決策を得た、という結末でもいいと思う。

 

 このような稚拙かつ幼稚な思考回路でメタフィクションを加味した論理飛躍もあるが、この手の思考は「納得できるように考えることが全て」である。気づけば6500字を超える雑記になっていたが、書かないよりはマシだと思ってこれを公表することとする。一体演じまCYNHNがどのような結末を辿るのか、答えはまもなく明かされる。

 

 はず。